司会 ずいぶん古いデータですが、職場での事故の原因の90%は家庭の不和だという調査結果があるんです。このことからも家庭の治まりというものは本当に大事だと分かると思いますが、子供の前で夫婦げんかをしたり、子供さんに自分の弱いところは見せますか。また子育てで気をつけていることなど教えてください。
村上 最近は本当に離婚している家庭が多いですね。父性は規律を教える。母性は優しく抱きかかえる。たとえ夫婦が揃っていても両方が父性の厳しさだけを子供に教えるとそれは親心になっていないと思う。女性だからといって父性がないわけではない。だから母子家庭でも父性と母性をもって育てれば母親1人でも子供は育つ、反対に両親が揃っていても父性と母性の役割分担ができていなければ子供はちゃんと育たないと思います。
池中 うちは夫婦げんかというものはほとんどしませんね。自分が子供のころに親がけんかしているのを見たときにいちばん寂しい気持ちになったので、子供の前では特にしません。特に繕ってるわけでもない。うちの場合は先ほど村上先生がおっしゃてたように父性も母性も会長さんがやってくれるので(笑)、私は何もしていません。
それから、なかなか自分の子供を褒めてやるというのができないんですよね。しかってばっかりで。押さえつけていたかなと思う。人の子には良く頑張ったねって言ってあげられるのになんで自分の子にはそれが言えないのかなって。 それと陰口はいけないなと思います。子供は聞いているんですよね。「おかあさん、あんなこと言ってたで」とかぽろっと言われるとドキッとしますね。本当に子供って親の言っていることをしっかり聞いてますね、顔色もよく見ていますしね。
清水 子供が大きくなってきて、子育ての方針がこんなに違うんだというのが出てきました。 上2人の子供にはとにかく厳しくしないといけないと思っていたのですが、やっぱり反発があって、子供の意見も聞いてあげないといけないということに気がつきました。ですから子供の様子や学校であったことなどを聞くようにしています。
以前下の子のクラスが学級崩壊のようになったことがあってうちの子にも影響があったときにも早く気がつけたのでなんとか乗り切ることができたことがありました。
子供が全部私たち親に話してくれたのでよかったのです。学校にいる時にストレスをためていたので、家では励ましてあげていて、今はいいクラスに恵まれているようで、今ではそういう悩みを抱えている友達に自分の経験からアドバイスしてあげたりしているみたいです。身近でやっぱりそういうことがあるんですね。聞いていたら今の小学生は忙しいんですね。おけいこ事とかでストレスがたまってそれが人に攻撃的になる原因なのかな。
司会 よその子を叱れますか?
池中 なかなかできないですね。そこまで親身になれてないのですかね。
清水 普段から知っている子ならまだいいのですがどういう子かまったく分からない子にはやっぱり言えないですね。以前に上の子が中学生のときにちょっと学校が荒れてて、学校の外で中学生が悪いことしてても注意しなくていいですと先生から言われて、でも目に余ったら警察に電話してくださいと言われたことがあって、それが心に残ってて、もし注意して危害を加えられたらどうしようとかいう心配もあってなかなか言えないですね。
村上 昔は先生というものはとても怖い存在だったんです。だから親も子供が悪いことをしたら親も怒るけれども、先生に怒ってもらっていたんですね。今は親が怒れないんですね、もし子供が目に余るようなことで他人が注意したらその子の親は普通なら感謝しなければならないところが逆に注意してくれた人に怒ってしまうわけです。
司会 この前にいわゆる大阪のおばちゃんに出会って、ものすごく感動した話を聞いたんです。
それは自分の子供が小さいときの話で、誕生日に手帳を買ってあげたんですって、するとその手帳を近所の子供がすごく気に入って、黙って持って帰ってしまったんです。それに気がついたその子供の親が謝罪の電話してきたそうです。「うちの子が手帳を持って帰ってきてしまった申し訳ないです」と。
それに対しておばちゃんは何て言ったかというと、「今すぐ子供を連れて謝りにきてくれ」と言ったそうです。そしてすぐに手帳を持って子供を連れて謝りにきたそうです。そのおばちゃんを見るやいなや玄関先で土下座して謝ったそうです。
そこでおばちゃんは子供に何て言ったか「あんたは自分のお母さんにこんな姿をさせて平気でいられるのか。あんたのしたことでお母さんはこんなに恥をさらしているんだ。二度としたらあかんで」と懇々と言い聞かせて、そして三人手をとって泣いたっていうんですね。
池中 すばらしいですね。子供が万引きして親が謝りにいって逆にお店の人に「お金払ったらいいんやろ!」と居直ったりすることがよく見受けられるけど、そうじゃなくてこの場合自分の子もそうだし人の子も同じような思いで間違ったことをその場で正す、自分の子も人の子も同じ感覚でしておられることがすごいことだなと思いますね。
それが今なくなってきて人は人、自分は自分と希薄な人間関係が問題になっていますよね。私たちはよふぼくなのですからこのおばちゃんに負けないように頑張らないといけませんね。
村上 子供もそうですけれど、まず親がなってないから、その親を何とかしなければいけないと思いますね。しつけはいくらでもつけられると思うんです。
私たち家族が教会を出て泉北ニュータウンへ移ったころ、子供たちは五歳、三歳、一歳だったのですが、子供たちにまず物の不自由さに耐えさせようと思い、朝食は端パンにしました。子供に物を与えるときに必ず理由付けするんです。端パンというものは食パンの端で栄養がここに集中しているんだよ、と。そして絶えず「もったいない、もったいない」と言い続けました。
すると子供たちも学校やよそでも、もったいないと自然と言うようになりました。しかし、不自由もやりすぎるといけないんですね。私たちが子供のときと同じようにやってしまうと、ついてこれなくなりますからね。そして子供には親の思いを押し付けたりせずに、しっかりと意見も聞いてあげることが大切ですね。
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